Surface Studioの出現でなにが変わるのか
翌日の新型MacBook proの発表ですっかり陰に隠れてしまった感がありますが、マイクロソフトは10月26日にサーフェスシリーズの新型であるSurface Studioを発表しました。
個人的にはこの発表はMacよりもずっと衝撃でした。
なぜならこのスタジオ、いわゆる一体型デスクトップPCだったからです。
(最近だとオールインワンという呼び方のほうがいいのかな?)
これでMicrosoftは純正PC「サーフェス」に主要3タイプ(タブレット、ノート、デスクトップ)全てを揃えたことになります。
これってつまり、もうMicrosoftはその気になればWindowwsを他社に提供しなくても生きていけるということ。
元からソフトウェアよりハード作りのほうが上手いなんて揶揄されていました、実際彼らの作る周辺機器は評価の高いものばかりでしたからね。
(一時期は中国工場の労働環境が問題視されましたが。)
これまでのサーフェスも、RTという稀代の失敗作を除けば全体的に高評価。
今回は、そんなサーフェスシリーズの行く末を考えてみることにします。
1 ハードウェア戦略の転換
Surfaceというブランドを発表してからしばらくの間、マイクロソフトはタブレットPCのみを販売していました。これはWindows 8でUIを大幅に変えた際、他社にお手本を見せる必要があったからでしょう。
AndroidでいうNexusに似た立場といえますね。
ところがSurface Bookを発表されてからは少し雰囲気が変わります。
Surface Bookはサーフェスシリーズの上位に位置づけられる2in1ノートで、これまでと違いノートスタイルに重きを置いた設計になっていました。
ブックの出現はWindows搭載パソコンを販売するメーカーに向けたベンチマークという役割の終焉を意味していたように思います。
つまりここからMicrosoftはAppleのようなハードOS一体戦略に転換したのです。
そして今回、一気呵成にデスクトップもラインナップすることにより、その姿勢を明確にしたと言えましょう。
2 迫るGoogleの影
Microsoftの決断の理由にはGoogleによるAndroidの脅威があると思います。Microsoftは長くWindowsの販売によって利益を得てきました。
パソコン自体は各PCメーカーに任せ、自身はOSを提供するという形です。
これは結果的にMacや日本のPC-98等から圧倒的にシェアを奪いました。
Appleにとって1ソフトウェア納入メーカーに過ぎなかったMicrosoftが反旗を翻した瞬間だったのです。
これと同じ脅威にMicrosoftは現在晒されています。
AndroidはiOSに対抗するのと同時に、オープンソース戦略でWindowsにもその牙を向けてきました。
chromebookが微妙だったり、Pixel cが失敗したりと現在のところWindowsに食いこめてはいませんが、諦めない姿勢を見る限りWindowsの前に立ち塞がるのも時間の問題でしょう。
Googleも始めはブラウザを媒体にした検索エンジンに過ぎませんでした。
しかしそのブラウザ上のウェブサービス群がMicrosoft Officeを脅やかしているのは周知の通りです。
3 サーフェスはマッキントッシュの夢を見るか
まるでGoogleの脅威でサーフェスがマッキントッシュ化するかのような言い方になってしまいましたね…。シリーズの醸し出す雰囲気は明らかに影響を受けていますし、高級機として認識させたいという思惑も明らか。
サーフェスはシリーズ初期こそ(元来Windowsの得意分野の)ビジネス向けとの謳い文句でしたが、最近では一貫してクリエイター向きとアピールしています。
これは今回のSurface StudioのPVからも明らかですね。
これって高級・プロ向け・クリエイター路線のi Macとターゲットがモロ被りなんですよね!
つまり業界で目指すニッチ(立ち位置)は同じ。
4 兆候はWindows 10?
私が思うにマッキントッシュ化の可能性もあるとは思います。この場合はWindowsをサードパーティー製PCに搭載を許可しなくなるという意味で。
その前兆が少しだけ感じられるのは、Windows 10を「最終OS」と位置付けたこと。
世界中のパソコンにばら撒いたのにそれはないだろう、と思われるかもしれませんが、彼らの発表が真意ならば永久的に10をサポートし続けることになります。
千差万別のパソコンがある中でアップデートし続けるというのはiPhone 3GSにiOS 10を入れるようなもの。
そう遠くない未来に限界が来るでしょう。
無料アップグレードしますという発表当時から言われていた噂に、10をとりあえず体験させた上で結局は買い替えさせることが目的なんじゃないかというものがありました。
レガシーデバイスではアップデートするうちに動作しなくなり買い替えざるを得なくなるからです。
5 ローマ帝国からバチカン市国へ
その買い替え先として用意したのがサーフェスなのではないかという話。製品自体の魅力もなかなかですから、これらに積極的に買い替えさせ、Windowsマシンを徐々に統一することが狙いなのだと個人的には思っています。
全ては無理としても、機種が少なくなるだけでOSのアップデートはだいぶし易くなるのではないでしょうか。
その証拠(?)に、サーフェスシリーズは既存のパソコンからシェアを奪いそうな新機能を次々と採用、大々的にアピールしています。
よっぽどSurfaceペンの成功に気をよくしたのか、今回のスタジオにもSurface Dialなんていうギミックを搭載してきたり。
ただのリファレンス機ならば、Google Nexusのようなシンプルイズベストにするハズなんですよ。
これは明らかにハードウェアメーカーとしてMicrosoftが台頭したいと考えていることのあらわれ。
帝国主義の時代は終わり、一人でも高い利益を上げる作戦にシフトし始めている兆候といえましょう。
ただ、現状Androidのパソコン化は成功していませんし、これまで作り上げてきたWindows帝国をそう易々と解体するようにも見えません。
結局どうなるかは誰にもわかりませんし、これからもWindowsは世界中で使われ続けると思います!
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