もしiPhoneが生まれなかったら今のケータイはどうなっていた?


もしあの時iPhoneが生まれていなかったら?

皆さんはこんなことを考えたことはありますか?


私はギリギリガラケー使用世代といったところですが、iPhoneが発表された当時の周りはほとんど騒いでいなかったように記憶しています。
第一に初代は日本で発売されなかったこと、そして第二に、意外にも当時からスマホやPDAといったデバイスがそれなりに存在していたことが挙げられます。

ほんとのほんとに初めのうち、iPhoneは「iPodのメーカーが作ったイロモノケータイ」としか見られていなかったのですね。
3GS,4と発売するあたりで完全にそのような下馬評を黙らせてしまうのですが。

iPhoneはいくつかの点で旧来の”スマートフォン”を過去のものにしてしまう要素を持っていたのです。

そこで今回は「もしiPhoneが生まれていなかったら?」をテーマに、iPhoneの存在しない未来の携帯電話について考えていこうと思います。


ほとんどの構成要素はiPhone以前からあった


前述の通り、iPhone以前からいわば「iPhoneになりかけのデバイス」は結構存在していました。
スマートフォンというのは以前から存在したカテゴリです。
その特徴はインターネットブラウザ・webメール・オフィスソフトなどパソコンの一部機能が手元の端末でも同じように使えることにあります。
アプリケーションの追加もこの頃すでに可能でした。

当時の王者はなんといってもカナダRIM社の”blackberry”でした。非常に打ちやすい物理キーボードを備えていたのが勝利の要因だったのです。
今ではiPhoneのパクリだなんだと言われているgoogleのandroidですが、開発当初はこのblackberryを目指していたという話もあります。

機能からわかるようにビジネス色が強く、文字入力をいかに快適に行うかが課題。
そのため多くの機種はblackberryと同じようなqwertyキーボードを備えていました。
一部はスタイラスによるタッチ操作にも対応していましたね。


つまり現在のスマホが備えている機能の多くは、iPhoneがなくとも存在したのです。

にもかかわらずiPhoneがそれ以前の端末をほとんど駆逐してしまったのには理由があるわけで。
次はiPhoneがなければ存在できなかったものを考えていきましょう。


「無かった世界」に存在しないもの


AppleファンがiPhoneを誉めそやす時、様々なポイントが議題に上がります。
曰く「洗練されたUI」「ホームボタンだけというシンプルさ」「Macとの連繋」などなど…。

ですが私は、iPhoneが革新的だったポイントは実のところたった一つだったのではないかと考えています。
それは「特定の場面でしか使わないボタンはなるべく消し去る」というポリシーの具現化。

appleが狂信的なまでに「シンプルさ」を追及しているのは誰もが知るところであり、このポリシーが最大限いい方向に作用したのがiPhoneだったといえます。

それまでの常識では多機能にすればするほど物理ボタンも増えていきました。普通のガラケー→qwertyキー搭載スマートフォンがいい例です。

当時は当たり前でしたが、今思えば発信・終話キーなんて無駄以外の何物でもありませんよね。

これと正反対のことをしたのがiPhoneでした。

どれだけ機能が増えようとも一度に処理できるタスクは一つだけ。ならばその仕事を達成するためのボタン操作しかいらないのではないか。
まさに発想の転換だったわけです。

当時としてもインパクトのあった全面タッチスクリーンも、すべてはこれを達成するためにありました。
画面に表示される仮想ボタンを確実に押せるようにするには、できるだけ大きなディスプレイと高精度なタッチセンサーが必要でした。

blackberryのような文字入力精度をタッチパネル上で実現できるかが最大の課題でしたが、
幸いなことに、スクリーンをマルチタッチにすることでシングルタッチの精度も大きく向上することにappleは気がつきました。
俗に「親指タイプ」とも呼ばれるblackberry式キーボードに十分匹敵できるレベルの入力精度を実現したのです。

これによりスティーブ・ジョブズが大嫌いなスタイラスペンが不要になり、従来型スマホの半分以上を占めていた大量のボタンもお役御免になりました。





アプリケーション

もしiPhoneがなくても…「機能」としてはほぼ全部あった。「高精度の全面タッチパネル」はおそらく存在しなかった。

だんだん見えてきましたね。
これらを踏まえまして、今度はスマホで使われる数々のアプリと日本の特殊なモバイル市場という二つの要素を考慮に入れる必要があります。

まずアプリに関しては現実とあまり差がなかったんじゃないかというのが私の意見です。

なぜならiPhone以降のスマホが生まれる以前からTwitterやfacebookといった主要SNSが存在していたからです。
(ちなみにTwitterは2006年、facebookは2007年に一般サービス開始。app storeが使えるようになったiPhone 3Gの発売は2008年)

スマホ普及当初は無限の可能性を秘めているかに見えましたが、現在ではほとんどの人にとってゲームかSNS用マシンになっています。
サービスがiPhoneの有無に関係なく存在する以上、使用シーンもそんなに変わらないでしょう。

端末の形状

次に日本のモバイル市場が与えたであろう影響を考えましょう。こちらはかなり違いがあったはずです。
iPhone以前に市場を支配していたのはblackberryだと上に書きましたが、日本もblackberryだらけになっていたか?というと、それは違うと思います。

皆さんご存知の通り、我々日本人は折り畳みケータイが大好きでした(今でも?)。
現在は「スマホ」の大ヒットでほとんど絶滅してしまいましたが。
これはストレートタイプが好きになったというよりも、フルスクリーンのタッチパネルではそれ以外の形が使いづらいという消極的な理由でしょう。
blackberryはこの定義にあてはまりません。
よって現実とは異なりストレートタイプが主流になる可能性は低く、
従来どおり折り畳み式が主流のままであると予想します。


・ブラウザなど機能はほぼ現実と同様
・SNS需要が高い
・形状は折り畳みタイプのまま

以上を踏まえますと、「iPhone無き世界のスマホ」の姿が明らかになります。
モバイルネットの常時接続を前提とした機能の数々は存在、SNSサービスの需要も高いということは快適な文字入力の需要が高いということです。なのでガラケーの10キーはそのうち廃れていたことでしょう。代わりにqwerty配列の物理キーボードが主流になります。

qwertyキーボード搭載で端末形状は折り畳みのままの場合、超小型のノートパソコン、というのが常識的な結論になるでしょう。


オペレーティングシステムは?

次にOSです。
あまり知られていませんが、実はガラケーも現在のiPhoneやAndroidのように汎用OSを搭載していました。
「なかった世界」のスマホではどうなるでしょうか?
まず有力候補のblackberry OSはblackberry専用なので他の端末には載らないでしょう。
というか他の会社にわざわざ提供するメリットがありません。

おそらくiPhoneがなければもっとも普及しているOSはwindows mobileでしょう。WindowsはiPhone以前のスマートフォン市場においてシェアナンバーワンを誇っていましたから。
ガラケーに載っていたOS,つまりSymbian OSやLinuxは候補のひとつです。ですがこれをスマートフォン用にカスタマイズするのは大変ですし、すでに専用のwindows mobile OSがあるので新規開発する意味がありません。
まあ順当にいけばほとんどの端末はwindows搭載でしょうね。


それ以外の可能性として、面白そうなところだとAndroidがあります。これについて上で少し触れましたが、Androidは元々「対blackberry」として開発されていたんですね。
現在ではすっかりiOSのライバルポジションですが、iPhoneの存在に関係なくAndroidは「なかった世界」のパラレルワールドに存在可能なのです。中身は実際のものとまるで別物でしょうけども。
blackberryのようなUIでGoogleの各サービスが載っているというビジュアルになったことでしょう。

GoogleはOSのライセンス料で稼ぐということをしていませんから、別世界でもblackberryやwindowsの強力なライバルになっていた可能性があります。
ひょっとするとAndroidはパラレルワールドにおいても圧倒的シェアを誇るOSになっていたかもしれません。


結論

おおむね「シンプルな端末形状と高精度なタッチパネル」以外はほぼ現実通り存在すると考えてよさそうです。
特に重視すべきはSNSの普及でしょうね。文字入力の需要が高まりガラケーのテンキーでは不満が出てきますから、iPhoneがなくともいずれはスマホに移行したであろう根拠になります。
現実にはフリック入力がありますがこれはappleの日本人社員による発明ですからね。高精度なタッチパネルと相まってパラレルワールドのスマホには搭載されません。
つきましては、「iPhoneがなかった世界」のスマホはどうなっていたか?という問いについて私が出した結論は以下のようになります。

windows mobileかAndroidを搭載した超小型ノートパソコンのような端末。

…ありきたりですみません!
でもiPhoneがないと仮定して状況証拠を組み合わせていくと、やはりこれがベストな形状なんですよね。
ていうか実際にあったんじゃね?という声も聞こえてきそうです。
これはおっしゃる通りで、有名どころではシャープのW-ZERO3シリーズでしょうか。
ガラケーよりもパワフルで文字打ちに適した機械という需要は前からありました。
何度も述べているとおり、iPhoneの登場がなくともいずれかのタイミングで一般人にもこのタイプのスマートフォンは普及したことでしょう。
iPhoneはあくまでもスタイルを確立したのであってパイオニアではないんですね。



いかがだったでしょうか。みなさんは現実のスマホのほうが好きですか?それともシャープW-ZERO3やHTC Diamond、それにblackberryが今も切磋琢磨しているパラレルワールドの方がより好みでしょうか?
私はどちらの世界でも楽しかったんじゃないかと思います。ガジェットが大好きなので!
ではまた次の記事でお会いしましょう!

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